川が流れている。芝生が揺れている。どこにでもある自然な毎日。 その時の流れに舟を浮かべて、僕らは生活をしている。 風を受ければ流される。ひっくり返ればまた、必死で起き上がろうと足掻く。 でも、一度落ちて濡れてしまった服は、そう簡単に乾かない。そんな時、その服を干す人がいる。 気長に待つ人がいる。面倒になって船の上に身体を投げ出し、流れに身を任せる人がいる。 僕はそんな人達を何人も見てきた。 これからする話は、僕がまだ「俺」だったころの話。 必死で舟をこぎ始めた時の話。 ちょっと変わった生活をしていた時の話……